トップページ › 火災予防 › 防火・防災管理について › 統括防火管理とは
「管理について権原を有する者(「管理権原者」といいます。)が複数となるものについては、一体的な防火管理体制を確保するため、昭和43年の消防法改正により、共同で防火管理を行うとする制度が創設されました。
この制度では、各々の管理権原が存する部分ごとに防火管理者を選任して防火管理を実施する一方、建物全体の防火対策のため共同で実施すべき事項について管理権原者間での協議を義務付け、これらについての消防計画を策定した上で消防機関に届出を行わなければならないこととされていました。
しかし、この制度の運用に当たって、管理権原者間で協議すべき事項の一つである「統括防火管理者」の役割が不明確であるなどの課題が指摘されたところです。
このことから、雑居ビル等については、火災危険性を低減させていくことを目的として、「統括防火管理制度」を整備し、平成26年4月1日から運用されています。
近年は、平成20年の大阪市個室ビデオ店火災により死者15名、平成21年の東京都高円寺南雑居ビル火災により死者4名が発生するなど、雑居ビルを中心に死者が発生するような火災が頻発しています。
これらの原因としては、テナント部分の防火管理と廊下や階段等の共用部分を中心とした建物全体の防火管理体制の役割分担、責任の所在が明確ではなかったことが挙げられています。
このような背景により、管理権原が分かれている建物については、建物全体を統括して防火管理業務を行う「統括防火管理者」、テナント部分の防火管理業務を行う「防火管理者」をそれぞれ定め、防火管理の役割分担と責任の所在を明確にしました。その上で、建物内の全ての管理権原者、防火管理者が一体となって、在館者、来場者を火災等の危険から守り、安全を確保することを目的として、消防法に定められることとなったのです。
統括防火管理者の選任が必要な防火対象物は、雑居ビルなどの管理権原者が複数名いる下表のものとなります。
雑居ビル等の複合用途ビルについては、基本的に複数の管理権原者が存在します
統括防火管理者は、防火対象物の各防火管理者と協力して統率し、防火対象物全体の防火管理業務を推進する必要があります。
統括防火管理者には、次のような責務があります。 統括防火管理者として選任されるためには、防火対象物の用途・規模に応じた資格が必要になります。
防火対象物と防火管理者の資格区分は、下表のとおりです。
※ 防火管理講習において、甲種防火管理者の資格は10時間(2日間)の講習、乙種防火管理者の資格は5時間(1日間)の講習を修了することで取得できます。防火管理講習の日程等詳細については講習会のページをご確認ください。
統括防火管理者は、建物全体の防火管理体制を推進する必要があるため、各テナント等の防火管理者と連携・協力しながら、以下のような業務を行い、役割を担います。
統括防火管理者は、各テナント等の防火管理者に対して、その権限の範囲において必要な措置を指示することができます。
例えば、廊下等の共用部分に置かれているテナントの物品を撤去することの指示や、建物全体の消火、通報、避難訓練に参加しないテナント関係者に対して参加を促すことについての指示などです。
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